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ご存知、昨年11月に発売された「芯が折れない」機構のシャープペンシルです。その気合が入った機構に関しては、何よりまずゼブラのサイトを見ていただくのが1番良いかと思いますし、ここでメーカーサイトと同じようなことを縷々説明することもないでしょう。ここでは主に、メーカーサイトとはちょっと違った話と、使ってみて個人的に感じたことを中心に書きたいと思います。

 

機構について

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デルガードの芯を保護するしくみは、三つの機構で構成されています。まず、芯先から押すようにかかる力を吸収する機構。これは、例えばプレスマンなどにも見られるいわゆるクッション機構です。このクッションは、ノック8回分ほどの長さの芯を収める位の、結構長いストロークを持ったクッションです。二つ目はこのデルガードの最大の特徴と言える機構で、パッケージに「デルガードシステム」と書かれている機構です。先端から芯が出ている部分において、芯側面の方向に力がかかると、先端の金属パーツ(口金)が、それを囲む軸先の縁に押される形で中心からズレながら前へ飛び出して、芯を保護します(このあたりの詳細な説明は、前述の通りゼブラの商品説明ページにお任せしたいと思います)。

そして三つ目ですが、これは前の二つの機構が先端から出ている芯に対する保護機構であるのに対して、軸内部での芯づまりを防ぐ機構です。サイトには「軸内部にシャープ芯を誘導する部品を取り付けた」とあるのですが、なぜかこの部品と機構については特に説明もないので、ここで少し詳しく書きたいと思います。ここでの「軸内部」とは、チャックと先端金属パーツとの間にある金属パイプ部分で、「シャープ芯を誘導する部品」とは、その金属パイプの中に入っているパーツを指しています。パイプの中では、このパーツにこのような感じで芯が通っていると思われます(実際は中の部品が外れないようになっていますが、金属パイプの先を突くと取り出すことができます)。

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このスプリングがついた白いパーツが、芯戻り止め(黒いゴムパーツ)とクラッチとの間に入って動き、芯を「誘導」することで、その間で通常起こるとされる芯づまりが防げるということなのでしょう。これはプラチナ「オ・レーヌ」の「耐芯構造」にも似た機構です。ただちょっと気になるのは、デルガードではあくまで「芯づまり」対策であって、オ・レーヌのように機構内部での芯折れについては言及していない点です。これは、力が加わった時に先端金属パーツが中心からずれるという機構上、内部での芯折れの可能性が必ずしもない訳ではないからかも知れません。もっとも、使ってみた感じでは、気になるほど中の芯折れがあった訳ではなかったので、先端が中心からずれるというのは、さほど芯に影響はないのかもしれません(さらに、この先端とクラッチの間の機構も先端パーツのずれから芯折れを防ぐように設計されていると考えられますが、そのあたりは推測でしかないので、ここでは詳しくは述べないことにします)。なお、短期間とはいえ使用している間に芯が詰まるようなことは全くなかったのですが、芯づまりについては、ほかのシャープペンシルを使っていてもあまり経験したことがないので、この機構のおかげで芯づまりがなくなったとかそういうのは、よく分からないとしか言えないのが実際のところです。とはいえ、このパーツがクラッチから芯戻り止めの間に入っている分、芯が保護されるのは確かだと思われます。

 

使い心地など

先端から出てくる芯を保護する機構についてですが、確かに上手く出来ていて、「ノック3回以内」ならまず折れないようになっています。この「折れない」ぶりについてもすでに各所で述べられていますし、今なら文房具店で実際にサンプルに触れて確かめることもできると思います。ここでは、この機構に伴うデメリットについて書きたいと思います。

まず、これはサンプルに触れた時にすぐ分かると思うのですが、先端パーツが動いて芯を保護する機構が、筆圧によって作用したり作用しなかったりするので、力加減が調整しにくいという点です。また、常に作用したとしても、最初に筆記面に触れた時とそこから更に先端パーツが動いた時とで力の入れ方が変わってくるので、結構書きづらい印象があります(もっともその結果、先端が動かないように力を抜いて書くようになるという別の意味での効果があるのかもしれませんが…)。ただ、このクッション効果が心地よく感じられる場合もあると思われるので、一概に書きづらいとは言えないかもしれません。

もう一点、これは使っているうちに分かってくることなのですが、この機構ではノックする頻度がどうしても多くなってしまうということです。口金のパーツが先に向かって動くことからも分かるように、この機構だと、通常のシャープでは十分書けるだけの芯が出ていたとしても、力が加わると先端パーツが動いて芯が潜ってしまい、スリーブで筆記面を擦ってしまう場合があります。

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実際書いてみると、筆圧が高ければこのぐらいでもスリーブが引っかかってしまうのですが、これはノック2回程度の量に当たります。「ノック3回まで」がデルガードの芯が折れないための保証でしたから、それに従うと、ここでは2回以上ノックすることはできず、1回だけノックして、また2回分の量になったらもう1回だけノック…を繰り返すことになります。結局この機構だと、ノック1回分しか書けないという訳です。芯折れによる中断は避けられるかもしれませんが、ノックの頻度が増えるため、それによる中断も増えるというデメリットも出てくることは、考慮に入れる必要があるかもしれません。

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軸についてですが、クルトガのように先の方を透明にして機構を見せているのはまあ良いとして、軸の方までクルトガを意識(?)した感じでチープなペイントをしているのが何かいただけません。しかもこの塗装、継ぎ目当たりからすぐに剥がれてしまいました。この部分、クルトガとは違って、透明ではない別パーツで構成されているのですから、なにもこんなペイントを入れずに、そのまま樹脂自体の色を使えばいいと思うのですが。

あとグリップには緩い凹凸があり、その凹の部分に指を置くように設計されているのですが、私の場合、このスペースに指が合わず、凸の部分に指が当たる感じになって、書いているうちに指が痛くなってしまいました。この部分は凹凸なしでフラットな方が良いかと思います。

 

以上、個人的な見解も含めて書いてきましたが、デルガードについては、芯が折れないからといっていくらでも強く書けるシャープペンシルだとは考えずに、この「芯が折れない」機構は、あくまで筆圧が入りすぎた非常時の場合(本来なら芯が折れる場合)に作動する機構であって、通常は、この機構を作動させないよう、あまり筆圧をかけずに書くようにするぐらいの気持ちで使っていくのが、妥当な使い方ではないだろうかと私は思います。

 

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